「自分は野球なんてしたことないから、子供に教えられない…」
「タカシくんのお父さんは何でも教えている…うちの子がかわいそう…」
野球をやったことのない親御さんは、よくそのことで悩んでおられます。
うちの両親も野球初心者で、いろんな本を買ってきては僕に教えようと読んでいました。(結局ほとんど教わりませんでしたけど笑)
今思うと、両親が初心者であることは僕にとっていい環境でした。
親が初心者であるほど、選手にとってのメリットは大きいです。
今回はそんな話をしていきます。
野球は教えられて上手くなるものではない
野球は教えられて上手くなるものでありません。
これ、野球界全員の人が勘違いしているんです。
「いい指導者でないと、選手は上達しない。」
確かにその通りなのですが、ここでのいい指導者は「うるさくない指導者」です。
野球界のいい指導者って
「手取り足取り、1から10まで教える指導者」こそいい指導者。
こういう認識ですよね。
子供はこのようなコーチや親のせいで本当に困っているんです。
大前提として言っておきたいのが、スポーツは技術を教えられて上手くなるものではありません。
それこそがセンスです。
センスを育むには、自分の感覚と向き合う長い時間が必要です。
結果が出ない時に、すぐに答えを教えてもらえる環境ではセンスは育ちません。

スランプから脱出できない選手になる
野球家庭の子は確かに目立って見えます。
でもそれは少年時代だけです。
中学、高校となると伸び悩みます。かなりの確率でそうなっています。
なぜなら、壁にぶち当たった時に誰かにアドバイスを求めるからです。
自分の感覚と向き合うことをやってこなかったツケは後からやってきます。
正直、高いレベルになると、フォームなどの技術論ではなく、ちょっとした感覚で大きく変わる世界なのです。
スランプの時に監督やコーチに教えを求めても、さほど変わらないのが現実です。
そんな技術論ばかり考える選手はゾーンやフローにも程遠いので、一流には絶対になれません。

常に何かを意識する癖がつく
誰かに教わることに慣れすぎた選手は、何かを意識してプレーする癖がつきます。
俗に言う「意識」は害悪である場合がほとんどです。
「腰を低く」
「頭をぶらさず」
「軸足に体重を乗せて」
「グリップから打つように」
小さい頃から、あれこれ意識させられてきた選手は、意識することが当たり前になっています。
このようなクソみたいな意識が集中を妨げ、プレーの邪魔になっているのです。
ミスをすると
「足の意識が足りなかった」
「もっと肩を開かないようにしよう」
「きっと膝が曲がっていたのが原因だ」
このように意識の迷宮に入ってしまいます。
「なにが悪いんだ…」
「どこを直せばいいんだ…」
このような場合のほとんどの原因は「意識の仕方」が間違っているからです。
大抵はボールを見るだけで解決します。
まさに、小さい頃から指導を受けてきた選手ほどスランプに陥りやすいです。
のびのびプレーできる
私は一貫して野球はのびのびやるべきだと言っているのですが、小学生時代は特にそうであるべきだと考えます。
この時期に、複雑な技術うんぬん考えていいことなど一つもありません。
ところが近頃の腐った野球界は、野球を始めたばかりの少年に技術論を駆使して指導しています。
勝つために、ゴロを打たせたり、バント練習ばかりをしているチームもあります。
負けたら罰ランニングとかも。
頭がおかしいのでしょうか。
以上のことを含め、選手にとって親御さんが初心者であることは大変恵まれています。
何も言わずに、「今日も頑張ったね!」と言うだけで選手は嬉しいものです。
グラウンドでもガミガミ、家でもガミガミ言われると野球が嫌いになります。
子供さんに野球を教えられないことを悪く思う必要はありません。
野球が自由にできる環境が一番の環境です。
