散々、このブログではフォームを考えずに「ボールを観ること」が一番大切だと言ってきました。
僕がこの考えに至ったのは、インナーゲームという本を読んだからです。
インナーゲームとは、てっとり早く言うと集中する方法です。
で、そのスポーツにおける集中とは、自我が邪魔せず、身体が勝手に動いている状態のことを言います。
ちょっと難しいですね。
わからなくても大丈夫です。
「なぜ何も考えていない、バカっぽい選手の方が野球がうまいのか」
「なぜ色々フォームなどを研究して毎日素振りをしているのに、僕は打てないのか」
その謎をインナーゲームで説明することができます。
僕も野球の努力は誰よりもしました。研究もたくさんしました。
しかし、僕よりもバッティングがうまい選手はたくさんいるんです。
今回はそんなかつての僕のような選手に向けて、ぜひインナーゲームを解説したいと思います。
⇒【ゾーンやフローに入る方法】
セルフ1とセルフ2
インナーゲームでは自分が二人いると考えます。
セルフ1:自分(意識)
セルフ2:自身(無意識)
この概念は大事なので、ぜひ覚えたいところです。
人間は行動の90%は無意識によるものだと言われています。
現に今あなたが頬杖を付いていたり、今の姿勢になったのも無意識によるものです。
スポーツの場合も無意識が大切で、意識が通用する部分はほとんどありません。
ここですでに疑問ですよね。
コーチや監督には散々そう言われてきたはずです。
大丈夫です。無視してください。
野球界はアホなおっさんばかりで間違った情報がはびこってます。
チームにいるチャラ男のように、無視することから上達は始まります。
それに、なんの勉強もしてこなかったおっさんより、ハーバード大の実際のテニスプレーヤーである研究者の方が言ってることの方が100%信用できます。
現に体感して僕もそうでした。
というか今まで「意識して」プレーしてきたのに、上手くならなかったわけですからね。
やはりあいつらの言っていることは何かがおかしいのです。
スポーツは、日常生活よりもかなり高度な動きをします。
ピッチャーがボールを投げてから0.4秒で判断しないといけないし、打球もものすごいスピードで飛んできます。イレギュラーもあります。
つまり、スポーツの世界ではセルフ1の「意識」が活躍できる場なんかありません。
いかにセルフ2がプレーをするかで決まってきます。
⇒【野球界は指導者がうるさい】
セルフ2の邪魔をしないこと
才能やセンスに溢れる選手は、何も考えていない(ように見える)選手が多いです。
それはなぜか。
セルフ1(意識)がセルフ2(無意識)を邪魔していないからです。
反対に真面目な選手ほど、プレーの最中にセルフ1ばかり出てきます。
「もっと肘をあげろ!」
「もっと腰を低く!」
「今のはだめだ!もっと力を抜いて」
これらは全てセルフ1の声です。
セルフ1がセルフ2(無意識)に命令しているのです。
これでは、セルフ2が出る幕などありません。
感情的になる選手が下手くそなものも、セルフ2を邪魔しているからです。
セルフ2をもっと信頼しましょう。
スポーツは無意識に任せないと絶対に上手くいきません。
ゾーンやフローと呼ばれるのもセルフ2がプレーをしているということです。
ご飯を食べるときに腕の使い方を意識するか?
箸を使って、ものを食べるところを考えてみてください。
セルフ1は出てきているのでしょうか?
「よし、まずは右腕を伸ばそう。
よし、もっと伸ばすんだ。そしてあの唐揚げを取ろう。
おっけー、あとは人差し指に少し力を入れて、上側の箸を動してとるだけだ」
こんな風に考えてご飯を食べる人はいません。
「唐揚げを食う!」と決めたら、それまでの動き方はセルフ2が決めるのです。
唐揚げを取ろうという目的を定めるのと、体を動かすのは自分の意志ですが、それまでのプロセスは全て無意識によるものです。
心配ありません。セルフ2(無意識)は上手くなります。
箸も失敗してでも何回も練習すれば、箸が上手く使えるようになりましたよね。
そのとき、「もっと力を入れよう」とか「指の角度が〜」とか気にしていましたか?
単に、失敗成功を繰り返していただけだと思います。
無意識は脳でそれをインプットしているので、
「こうすればこうなる。」
というのを勝手に学習しています。
体に任せて、あとは練習を繰り返すだけです。
唐揚げをとる時は一回一回セルフ1で命令しないのに、どうしてもっと難しいバッティングではセルフ1を使うのでしょうか?
私が「ボールを観ることが一番大切、あとは勝手に打てるようになる」
と言っているのはセルフ2でプレーするためです。
集中するとはつまり、セルフ1が邪魔せず、セルフ2に任せて最大パフォーマンスを発揮することを意味するのです。
⇒【ゾーンやフローに入る方法】
⇒【守備のスランプ脱出法】
[参考図書]